EA-BANKの無料ツール「ポートフォリオシミュレーター」とは?
「ポートフォリオ(portfolio)」とは、日本語訳にすると「紙ばさみ」や「書類かばん」の意味があり、複数の書類をひとまとめにしている入れ物のことですが、投資の世界では様々な金融商品を組み合わせのことを指します。
例えば株や債券、暗号資産、金など、投資をやる人たちの間では複数の資産に分散して投資することが普通です。
これにより、リスクを減らすことができますし、ポートフォリオの組み合わせ方によってはリスクを減らしつつリターンを増やすこともできます。
そして株式や投資信託を取り扱ってる証券会社では、通常投資家のリスク許容度や投資方針に応じて最適なポートフォリオを提示してくれるシミュレーションツールを提供してくれています。
例えばこちらは松井証券の「投信工房」というツール(ロボアドバイザー)ですが、新NISAで積み立て投資を行いたいという場合、簡単な質問に答えていくだけで、すぐに自分の望む投資方針に従った最適の金融商品の組み合わせを提示してくれます。
参考:松井証券「投信工房」https://www.matsui.co.jp/fund/roboadvisor/toushin-koubou/
株や投信の場合は多くの各証券会社や投資情報サイトで、このような銘柄の組み合わせをシミュレーションとともに提示してくれるツールが提供されています。
FX自動売買に話を戻すと、売買ロジックを組み込んだプログラムであるEA(ExpertAdvisor)が株や投資信託で言うところの銘柄に相当するものになりますが、株や投信と同じくこのような最適なEAのポートフォリオを提示してくれるツールというのは残念ながらこれまでなかったように思います。
しかし今回あのEA-BANKさんが、ついにFX自動売買用にポートフォリオを作成してくれるツールを開発し、無料で公開してくれました!
それがこちらの「ポートフォリオシミュレーター」です。
引用:https://next.ea-bank.com/simulator
「現代ポートフォリオ理論」をEA選択に応用!
このポートフォリオシミュレータですが、考え方としては金融資産のポートフォリオを構築する際の理論として有名な「現代ポートフォリオ理論」がベースとなっています。
現代ポートフォリオ理論では、リスク(損益の標準偏差)、リターン(損益の平均値)によって最も効率的に運用できる組み合わせを考えます。
リターンを縦軸、リスクを横軸で表したとき、同じリターンであればできる限りリスクの小さい資産の組み合わせである一番左側の部分が優秀なポートフォリオになりますが、この理論ではそのポートフォリオの集合を「効率的フロンティア」と呼び、この部分から運用するポートフォリオを選択することになります。
引用:https://ea-bank.com/ea-bank-2/portfolio/
ポートフォリオシミュレーターについてもこの考え方をEA選択に応用しています。
こちらはEA-1とEA-2からなるポートフォリオの例ですが、二つの総損益と最大ドローダウンの異なるEAを組み合わせて運用することで、ポートフォリオの効果で総損益が同じでもリスクを減らせること、同じリスクでも総損益を増やせることが分かります(青い点線部分(=効率的フロンティア))。
例えばEA-1だけを運用した場合(赤い破線の一番左下)より、リスクが同じになるように資金を配分して二つのEAを運用した方が総損益は大きくなります。
また資金を二つのEAに50:50に配分(赤い破線の中間あたり)して運用した場合、総損益は同じのままでリスクは左側の青い点線位置まで低減されます。
「取引通貨」「取引スタイル」「取引スパン」の3要素の分散で相関を減らす!
このようなポートフォリオの効果を高めるには適当にEAを選んでいては駄目で、損益の相関を減らすことが必要となります。
このポートフォリオシミュレーターではこの相関を減らすためにより簡易的方法として、「取引通貨」「取引スタイル」「取引スパン」の3つを満遍なく分散するという方法を採用しています。
引用:https://ea-bank.com/ea-bank-2/portfolio/
この3要素を重視する理由は以下のように説明されています。
大相場のときのほとんどは、ある国でイベント(地震やバブル崩壊、戦争)が起きて経済に不安が生じ、相場が大きく変動します。
そのため、特定の国の通貨(JPY、USD、EURなど)にポジションが偏るとイベントの影響を強く受けてしまうので、そうならないように取引する通貨を満遍なく分散しておきます。また、「取引スタイル」や「取引スパン」が異なればポジションの有無や方向、相場変動の影響を受ける程度が変わり同時に負けにくくなります。
引用:EA-BANK https://ea-bank.com/ea-bank-2/portfolio/
この3つの要素というのは主観的にポートフォリオを組む場合でも、多くの自動売買トレーダーが重視している要素だと思います。
ただそうした要素が分かっていたとしても、多くのトレーダーは数値的な裏付けや予測もなくEAを選択することには不安を覚えることもあったと思いますし、また相関の低さを調べるにも手間がかかっていたと思います。
しかしこのポートフォリオシミュレーターを使用することで、そうしたふんわりとしたEAの選択がより合理的で数値的裏付けのあるものになり、さらにはEA選択にかかる手間も大幅に削減されますので、EA-BANKのEAを利用する自動売買トレーダーにとっては間違いなく強力な支援ツールとなるはずです。
基本的な使い方
ポートフォリオシミュレーターの基本的な使い方ですが、まずは「01.あなたの予算は?」の下の空欄に予算を入力してください。
今回は仮に予算を「10万円」とします。
入力すると次に「02.EAを選択しよう」という表示が出てきます。
ここで「EA-BANK SELLECTIONから選ぶ」か「自分でEAリストから選ぶ」を選択できますので、好きな方を選択してください。
今回は「EA-BANK SELLECTIONから選ぶ」を選択してみました。
すると、以下のようにEA-BANK側でセレクトされたポートフォリオの一覧が表示されますので、運用してみたいポートフォリオを選択し、左下の「このポートフォリオを使う」をクリックしてください。
今回は「10EAポートフォリオ」を選んでみました。
するとこんな感じで、左側に10個のEAのポートフォリオのリスト(※下にスクロールすると10個のEAが見れます)、右側に「ポートフォリオ損益」、EAごとの配分比率とロット数のほか、「統計値」「類似EAグループ」「戦略/通貨ペア」「勝率/ペイオフレシオ」といったデータを見ることができます。
このままのEAの組み合わせ、ロット数で運用してもいいと思いますが、EAの配分比率を変えてロット数を調整したりもできます。
なおポートフォリオ損益のグラフの見方ですが、青いラインは「2015/01/01~昨日までの損益を累積した結果」、赤いラインは「過去の損益傾向から算出した3年先までの期待推移」、上下の黄色いバンドは、「過去の期待値通りに推移すれば高い確率でこの中で推移するであろうという区間」になります。
主にこのグラフのシミュレーション結果、および統計値などを参考にして、最終的に構築するポートフォリオを決定することになると思いますが、納得いかない場合は、他の「EA-BANK SELLECTION」を選択したり、自分でEAリストから選んでみることもできます。
じっくり納得のいくまで自分なりのEAポートフォリオを作成してみることが可能です。
まとめ
以上EA-BANKのポートフォリオシミュレーターをご紹介してきました。
今までにないFX自動売買用のEAポートフォリオを作成するための画期的な支援ツールであるこのポートフォリオシミュレーターは、現代ポートフォリオ理論をFX自動売買のEA選択に応用したツールです。
「取引通貨」「取引スタイル」「取引スパン」の3つを満遍なく分散するというやり方で相関リスクを減らし、高いポートフォリオ効果の見込める最適なEAの組み合わせを提示してくれます。
使い方については、①基本予算を決めて、②「EA-BANK SELLECTION」のポートフォリオを選択するか自分でEAを選ぶだけで、すぐに損益予測や「統計値」などが表示されますので、非常に簡単で使い易いツールとなっています。
残念ながらこのツールを使用できる対象はEA-BANKのEAに限定されますが、EA-BANKのEAは既に150個超ありますし、EA-BANKのEAに絞っても十分運用してみたいEAが見つかるはずです。
しかもEA-BANKは優秀なEAが登録されやすい仕組みになってますので、今後も期待できるEAがどんどん増えていくことでしょう。
ちなみにこのポートフォリオシミュレーターですが、現段階ではまだ「β版」ということですので、今後新しい機能も追加され、さらに使い易く洗練されたツールになっていくことが予想されます。
EA-BANkを既に使っているという方は勿論、まだFX自動売買をやったことがないという方、興味はあるけどまだEA-BANKには登録していないという方は、是非EA-BANKに登録してこのポートフォリオシミュレーターを使うところからスタートしてみてはいかがでしょうか。