SilverCoyoteはドル円以外でも運用できる
当ブログで2年連続でMVEに選んだ優秀なEA・SilverCoyoteですが、今年も相変わらず好調をキープしています。
私のリアル口座のフォワードの運用成績はこんな感じで推移しています。
先日同じトレンドストリームさんのEA・BlackPantherUSDJPYが絶好調という記事を書きましたが、SilverCoyoteもかなりの好成績です。
既に2年以上優秀な成績を続けている数少ないEAの一つですが、運用当初より販売ページに記載のある開発者さんのこんな一言が気になっていました。
推奨の通貨ペアはUSDJPY
その他にEURJPY・GBPJPY・AUDJPYでもそれなりの良い働きをしてくれそうです。
ドル円が推奨通貨ペアとされているSilverCoyoteですが、他の通貨ペアでも稼働できるんです。しかも「それなりの良い働き」ということであれば、是非他の通貨ペアでも運用してみたいと思っていました。
実は以前少しだけユーロ円で運用したこともありますが、何度か損失がドル円と重なったこともあり、正直ドル円とクロス円では相関が高そうなので同時運用しない方が良いのではないかと思い、途中で運用を止めてしまいました。
しかし複数通貨ペアでの運用が気になる、気になるけどリスクがどの程度かはっきりしない・・・ということで、よしそれなら調べてみよう思い、バックテストでEA同士の相関を分析できるとあるツールを使って調べてみることにしました。
無料で使えるQuantAnalyzerは超便利!
そのツールというのはQuantAnalyzer。このツールを用いることで、通常のバックテストの成績を年度ごとに算出してグラフ化したり、複数のEAの損益グラフを合成したり、EA同士の相関を調べたりっていうことが簡単にできます。
現在「QuantAnalyzer4」の無料版と有料(Pro)版があり、このうち無料版はこちのサイトで名前とメールアドレスを登録し、メールで送られてくるライセンスを取得することでダウンロードできるようになります。
無料版は一部機能が限られていますが、EA同士の相関や成績の推移を見たりする分にはこれで十分です。動作が軽いですし、簡単にバックテストを取り込んで分析できるので非常に便利です。
最近ではEAの販売サイトや個人のFXブログでこのツールを使ったバックテストの詳細な分析結果が公開されることも増えてきましたね。
というわけで私もこの分析ツールを使ってSilverCoyoteを複数通貨で運用した場合について調べてみました。
データの取り込みの手順
やり方は簡単なんですが、参考のため一応バックテストを取り込んで分析結果を出すまでの手順を書いておきます。※QuantAnalyzer4(無料版)のインストールが完了しているものとします。
なお今回SilverCoyoteの各通貨ペアごとのバックテストをするにあたって、FXDDのヒストリカルデータを使用しています。条件は次のとおり。
バックテスト期間:2005年1月~2018年6月
スプレッド:ポンド円→1.5pips、ドル円・ユーロ円・豪ドル円→1pips
ロット:0.1ロット(単利)
【データ取り込みの手順】
①まずは通常通りMT4でEAのバックテストをして、終了後に出力されるレポートをHTMLファイルで保存してください(レポート画面で右クリック→保存)。ファイル名は「StrategyTester」となっていますが、適宜分かり易いように変更してください。
②次にHTMLデータをQuantAnalyzerに取り込みます。QuantAnalyzerを起動させ、画面上部にある「Load report」からファイルを読み込んでください。
③ファイルの読み込みが終了すると、画面下に読み込んだファイルごとにEAのバックテストデータが表示されます。今回はSilverCoyoteの4通貨ペアごとのバックテストデータを読み込ませました。これでデータの取り込みは完了です。
年度ごとの成績や各種グラフも簡単に見れる!
さてここからバックテストデータの詳細分析です。
まず画面左側にある「Analyze」を選択し、次に並んでいるEA名(Strategy Name)のところから表示させたいものを選び、青文字で表示されている純利益(Net profit)のところをクリックします。
まずはSilverCoyoteのドル円版を表示させてみました。
すると下記のような画面が表示されます。
分かり易いですね。
しかしこれだけだとバックテストのレポートとあまり変わりませんが、これを下にスクロールさせてみると・・・
御覧のように年度ごと月ごとの成績が表示されます。それにしてもドル円版は2005年以外は全部利益が出てて凄いですね。
次に画面上部「Overview」から「Trade analysis」に表示を変えてみます。
すると年度ごとの成績が棒グラフで見れる(左下)ほか、日ごと時間ごとの損益や、ロングショートの割合、トレード時間ごとの損益の割合など、各種グラフが表示されます。
バックテストデータの合成も簡単!
さてEA単体のデータを見ただけでもこのような詳細な分析結果を表示してくれますが、凄いのはここから。なんと各EAのデータが簡単に合成できるんです。
やり方は簡単。下記画面のようにデータを合成したいEAをチェックし、「Create Portfolio」をクリックするだけ。
すると選択したEAによるポートフォリオの分析結果が画面下部に表示されますので、EA単体データの時と同様Net profitの箇所をクリックします。
4通貨ペアのバックテストデータが合成されて表示されました。
勿論年度ごとの成績や各種グラフも合成データで見ることができます。
さらに「Equity chart」を選択すると、下記のような各EAの損益グラフとそれを合成したグラフを見ることができます。
さらに「Drawdown」を指定するとドローダウンについてもpips単位、$単位、%単位で表示させることもできます。
下の画像ではpips単位で表示させてます。どの時期にどの程度のドローダウンが発生しているかも一目で分かりますね。
EAの相関分析もできる!
さてここで当初の課題に立ち返ると、SilverCoyoteはドル円以外であればどの通貨ペアで稼働させるのがよいのか調べる、ということでした。
ドル円はこのまま稼働させますが、一緒に稼働させたときに大きな損失を被らないような通貨ペアの組み合わせを選択する必要があります。つまりEA同士の相関を調べる必要があります。
ここではドル円版が損失の時利益を出せる通貨ペア、逆に他の通貨ペアが損失の時にドル円がそれをなるべくカバーできているような、そういう組み合わせを知りたいわけです。
そしてこのQuantAnalyzerでは、EA同士の相関も簡単に調べることが出来ます。
すなわち合成したデータのまま「Portfolio correlation」を選択し、「Compute」を押すだけです。
その他の箇所は適宜必要に応じて項目を変更してください。ここではデフォルト状態のまま、「日単位」で、「損益」の相関について調べます。
すると下のような画面で結果が表示されます。
相関は数字の0~1で示され、0.4 未満の数字であれば相関は小さく、0.4-0.7ならやや大きい、0.7-1なら大きいということなります。
というわけで結果を見るとドル円と豪ドル円の相関が0.2で一番低く、ポンド円0.27、ユーロ円0.3と続く結果になってます。
こう見るとドル円との相関は一応全通貨ペアが0.4未満ですが、ポンド円とユーロ円同士だと相関は0.39とやや高めです。
また仮に全通貨ペアで動かすとなるとドローダウンは3000pips近くなるので、ロットは増やしずらいです。
あと確かに豪ドル円はドル円との相関は一番小さいですが、4つの通貨ペアの中では純益が一番小さくドローダウンが一番大きいです。
というわけでこの分析から、
・とりあえず豪ドル円は除外
・ポンド円とユーロ円は相関がやや高いので同時稼働はさせない
・ドル円と一緒に稼働させるなら、ポンド円かユーロ円
ということになりました。
結論:ドル円と一緒に稼働させたい通貨ペアは・・・?
で、最終的に私がドル円と一緒に動かしてもいいかなと思った通貨ペアはポンド円となりました。
決め手は相関と純利益の大きさです。
ドル円&ユーロ円、ドル円&ポンド円でそれぞれポートフォリオのデータを再度作成してみると次のようになりますが、これで見ると純利益でポンド円&ドル円が上回ってますし、相関では先ほど見たようにドル円&ポンド円の方が低い値になってます。
さらにドローダウンはドル円&ユーロ円より若干大きいですが、ユーロ円単体で見ると2017年と2018年(途中)は純益がマイナスになっていたのに対し、ポンド円は2017年はマイナスですが今年プラスになっており、その点も大きいですね。
というわけで、SilVerCoyoteをドル円以外でも動かすとしたらポンド円がよいのではないか、という結論になりました。
以上QuantAnalyzerの使い方を見ながらSilverCoyoteを稼働させる通貨ペアについて調べてきました。
QuantAnalyzerは無料版でも十分に使えますし、ここに書いていない機能もまだまだあります。
是非皆さんもこの超便利なツールを活用して、最高のポートフォリオを構築してみてください。