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FX自動売買あれこれ

FX自動売買での詐欺EA体験と詐欺EAを排除する方法③

詐欺EAを見破るために必要なバックテスト+α

かなり期間が空いてしまいましたが、詐欺EAに引っかからないためにどうするか、ということをテーマに私なりの体験談と考え方を書いてきて、今回はその3回目、最終回です。


「詐欺EA」と書いてますが、ほんとに使い物にならず損失ばかり出すEAを"滅茶苦茶儲かる"とか"月利100%"などと言って販売している明らかな詐欺EAだけでなく、広い意味で販売者が意図しているかどうかに関わらず、実際の性能と表向きの宣伝文句とがかけ離れている可能性の高いEAについて、それを見破る方法について書いているつもりです。

前回は詐欺EAでないならばバックテストを公開しているのが当然であり、さらにそれが「正しい条件」すなわち、①直近を含む10年以上の期間、②1000回以上の取引回数、③妥当なスプレッドで実施されていることが重要だと書きました。

しかし、たとえバックテストがこうした条件で実施されていたとしても、いわゆる過剰最適化で実際以上にEAの性能を良く見せることは可能ですし、そもそもバックテストを別のEAのそれと差し換えたりすることで、実際より良く見せることも可能です。

つまり、バックテストだけで詐欺EAかどうかの結論を決定的なものにすることはできないのではないかと思います。

では何を見れば、よりそのEAがバックテストで示されている性能とそうかけ離れたものでないことを確認できるのか?

それが、今回のテーマであるフォワードテストになります。

 

フォワードテストの信頼性

長期間のバックテストに加えてこのフォワードテストが公開されているEAであれば、さらに信頼性は高くなりますが、フォワードテストの実施方法や公開方法も重要です。

まずフォワードテストの実施方法ですが、通常EAは、開発段階でMT4やMT5のストラテジーテスターを使い、一定の期間を決めてバックテストを実施します。

その段階でそのEAがある程度の成績が残せることが分かったら、今度はそのバックテストの期間以降についてEAを走らせてテストを実施します。

このやり方にはいくつかやり方があり、以下の3つのタイプがあります。

①引き続きストラテジーテスターを使用し、バックテストの期間より先の期間でEAを稼働してテストする。

②デモ口座を使用し、バックテストより先の期間でEAを稼働してテストする。

③リアル口座を使用し、バックテストより先の期間でEAを稼働してテストする。

 

①~③のどれであれ、開発に使用したバックテスト期間よりも先の期間でそれなりの成績が出せれば、ある程度そのEAの性能は担保されたと言えるのかもしれません。

ただ、EAは実際にリアル口座で稼いでくれなければ意味がありません。

そもそも①のストラテジーテスターを使用してのフォワードテストというのは、通常のバックテスト同様、過剰最適化などによりEAの成績を実際よりよく見せることができるという点でフォワードテストとしての信頼性は低くならざるをえません。

また固定したスプレッドではなく、リアル口座に近い変動スプレッドを使用すればバックテストでも設定次第でかなりリアルな環境に近づくのかもしれませんが、刻々と変化していく取引口座自体の相場環境には及ばないでしょう。

その意味ではフォワードテストの信頼性としては、ストラテジーテスターを使用するよりも実際にMT4/5の口座で稼働する方が高くなるはずです。

では②デモ口座と③リアル口座ではどちらが信頼性が高いフォワードテストとなるのか言えば、それは言うまでもなく③のリアル口座でのフォワードテストでしょう。

③のリアル口座の稼働で好成績を収められるEAこそが、もっとも信頼できるEAということになると思います。

勿論信頼性が担保されるにはフォワードの期間も重要です。

リアル口座でのフォワードテストであっても、あまりにも短い期間、例えば1ヶ月とか2ヶ月程度、しかもトレード回数も数える程度であれば、それだけではそのEAが良いEAかどうか判断できません。

具体的に何年以上とは言えませんが、私自身は最低でも1年以上、できれば2年~3年程度の実口座でのフォワードテストで長期バックテストの平均的な成績と遜色ない成績かそれ以上の成績を出せるEAなら、そのEAの"性能"がある程度担保されたものと考えます。

EAの性能が担保されているということが確認できれば、もはやそのEAが詐欺EAである可能性はぐっと小さくなるはずです。

 

フォワードの公開方法

しかし「リアル口座」である程度の期間の成績が公開されていたとしても、実はその公開の仕方次第ではまだ人を騙せる余地があります。

私が詐欺ブログを見て詐欺EAに引っかかったとき、そのブログの運営者はエクセルのような表に毎日の成績を貼り付け、それをスクショしたものをブログに公開していました。

今考えると、そういう公開の仕方というのは、適当な数値をでっちあげたり本当のEAの成績をエクセル等に張り付けて改ざんしても作成できると思うわけですが、当時は別のフォワードテストの成績の公開方法を知らなかったということが騙された原因の一つだったかなと思います。

ではフォワードテストの公開方法にはどんなものがあるのか。

大きく分けると二つあると思います。

一つは、私が騙されたやり方でもありますが、日々の取引記録を表などにまとめてブログなどで公開するやり方です。

勿論こうしたフォワードの公開方法が全て嘘やごまかしだと言うつもりはありませんが、EAをMT4やMT5にセットして稼働させているのであれば、なぜそれを誰でも直接確認できるようやり方で公開しないのだろうという疑問はどうしても生じてしまいます。

というのも、EAの日々の取引を計測し、その実績を公開するためのツールがあるからで、少しEAをかじっている人であれば、EAの販売サイトや開発者のSNSやブログ等でそうしたツールを使って日々の取引が公開されているのを当たり前に見ることができるからです。

それが二つ目のフォワード公開方法で、具体的にはmyfxbookやRealTradeといったツールを使って公開する方法ですね。

このブログでもオリジナルのEAのフォワードを公開してますが、全てRealTradeでリアルタイムで公開しています。

例えばこちらのEAのようにRealTradeでフォワードテストを公開することで、日々の取引が反映され、誰でもその成績やエントリー状況をリアルタイムで確認することができます。

 

Myfxbookもそうですが、MT4/5のプラットフォームから直接取引履歴のデータを吸い上げて成績(数値)や損益グラフに反映されていきますので、これだとごまかしようがないです。

そうしたツール上でフォワードテストが公開されている場合、RealTradeであれMyfxbookであれ、リアル口座なのかデモ口座なのかの違いも確認できますので、できればリアルフォワードなのかデモフォワードなのかもチェックしておきたいところです(※)。

※RealTradeの場合は「ステータス」からリアル口座/デモ口座の区分を確認できます。

 

※Myfxbookの場合は「一般(General)」のタブを開けばリアル口座/デモ口座の区分を確認できます。

 

ナンピン・マーチン・グリッドのEAかどうかは要確認!

さて、最後に一つナンピンやマーチンゲール、グリッドといったいわゆる負けにくいEAにについて注意点を書いておきたいと思います。

これらのEAについては稀にそうした手法を採用していることを隠して、毎月勝っているフォワードを公開している販売者を見かけることがあります。

これらの手法は非常に負けにくいので、数ヶ月どころか数年以上毎月勝ち続けているEAなんかも実際に存在します。

負けてないならいいのでは?

と思うかもしれませんが、これらの手法は周知のようにリスクも高く、ロットのかけ方次第では、損失が出た際に口座が吹っ飛んでしまうような損失がでることも珍しくありません。

たとえ長期のバックテストを公開していても、そしてリアル口座でフォワードテストを公開していたとしても、優秀な成績の背後に大きなリスクが隠れているのがこれらの負けにくい手法のEAです。

ですので、まずはEAの販売ページなどで、そのEAがこれらの手法を採用しているEAなのかどうかを確認してください。

何も書いてない、分からない場合は、開発者や販売者に問い合わせましょう。

またフォワードの成績で毎月月単位で勝ち続けている場合、勝率が100%かそれに近い場合、取引履歴で複数のポジションを持っていることが明らかな場合、などで商品ページで手法についての説明がない場合は、負けにくい手法を採用していないか、疑ってみることも必要です。

ちなみにバックテストのグラフの形状でもこれらの手法の有無がある程度分かるものですが、それについて割愛させていただきます。

 

まとめ

以上3回に渡って詐欺被害の体験談、そして「詐欺EA」に引っかからないために何を見ればいいのかについて書いてきました

あからさまな詐欺EAだけでなく、宣伝文句とかけ離れたEAを掴まされないためにどうするか、という観点で少し範囲を広げて書いてみたつもりです。

まあ少しでもFX自動売買をやったことがあるという方なら、常識的な内容だったかもしれません。

しかし本当にそれほどの価値があるのか怪しい高額EAというのは未だに販売されてますし、もしかすると私が騙されたようなEAに似たあからさまな詐欺EAもどこかで販売され、被害にあっている方もいるかもしれません。

政府による副業の奨励や新NISAの開始をきっかに投資を始めてみたという方が増えてきた今の世の中だからこそ、FX自動売買に興味を持つ人も増えてくることが予想されますので、あえて恥ずかしい体験談も踏まえて自分なりの詐欺EAに対する対策法をまとめてみました。

なお、詐欺EAじゃなくても投資である以上、ここで書いてきたような条件を満たすEAで運用したとしても損失が出る可能性があることは言うまでありません。

しかしそれはまた詐欺EAに引っかからないためにという話とは別で、EAの選択方法や運用方法の話になってきますので、別のところでお話できたらと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

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